トフラー博士著 『第三の波』

リカレント教育、あるいは学び直しという言葉が頻繁に飛び交うこの頃。人生100年の時代とも言われているし、自分の余生もあと30年あるかもしれないと考えると、ちょっと憂鬱な気分にも襲われたりする今日この頃。パソコンをたたいていると、ふと情報化による社会の変動を論じた本として、アルビン・トフラー博士(Alvin Toffler 1928-2016)の『第三の波』(TheThird Wave 1980)に言及されていたことを思い出して、久々に読み返してみました。読んだ当時の1980年という時代は、自称『新卒の期待の大型新人❢』(大笑)の真っ盛り。無事に社会人デビューを果たした23歳の自信過剰のバリバリエリート?サラリーマン。時代を身体で体感することと地球が掌に乗っているような感覚に日々熱中していた中で、この日本語訳で600ページ以上の大著である本を最後まで読んだ記憶はありませんが、興味のある部分だけは精読していたようで?今でも記憶に残っていました。あまりにも有名な著作ですが、内容をアバウトに言うと、文明の段階は農業段階(第一の波)、産業段階(第二の波)を経て、現在第三の波(情報化)が始まりつつある。規格化、同時化、集権化された産業段階から、情報化社会では人は時間と空間の自由を得る、個人と組織と国家社会の大変革に今から備えよ、ということでしょうかね。人類はこれまで大変革の波を二度経験してきており、第一の波は農業革命(18世紀の農業における変革でなく、人類が初めて農耕を開始した新石器革命に該当)、第二の波は産業革命と呼ばれるものであり、これから第三の波として情報革命による脱産業社会(情報化社会)が押し寄せると唱えているようですが。もっともトフラー博士がこの本を40年以上前に書いたということに強い衝撃を受けました。著作の内容は多岐にわたり、社会の現状の分析から、情報化の進展が産業、社会、家庭、個人の生き方などにどのような影響を与えるか、最後は今後の民主主義の在り方までに及んでいますが、それだけ各方面にわたる予測、予言がちりばめられているので、すべての予測が当たっているというわけではありませんが、当時は、コンピューターの普及がどのような変革をもたらすかという点においては、しっかりと今でも記憶に残っていることから相当な衝撃を受けたものだと思っています。よく今でも語り草?になっているのですが学生時代に当時大流行していた『インベーダーゲーム』を喫茶店で奮闘?しながらやっていた時、ようやくの思いで1000点を超えて大喜びをしていたら、隣で小学校4年生の坊やが楽々10万点越えをやっていて、『10年経過して、彼が同じ会社に入社してきたとき、トフラー博士の言う情報化革命が起こっていたら、ゲームとはいえベースはコンピューターの集積回路であり、今のコンピューターに対する私の低能力では彼にとても情報化社会となっていたら太刀打ちできない』と青ざめたことを思い出します。「家庭用コンピューターが銀行や商店、官庁、近所の家、自分の職場などと連結されれば、製造業から小売商にいたるまで、企業の形態も必然的に変わってくるだろう。労働の質や家族の構成にも変革が起こるに違いない」「まもなく何百万という人びとが、オフィスや工場へ出かける代わりに、家庭で時を過ごすようになる」(→リモートワークの一般化を予測)
「将来コンピューターは、各家庭、病院、ホテル、交通機関、いろいろな器具、あるいは建物のレンガの中にまで、さまざまな形で組み込まれた無数の情報読み取り装置にとって代わられることになるであろう。電子化された環境が、文字どおり我々と対話を交わすようになる」(→これってまさにIoTのことだよね……)
コロナ禍の時に上記に記したリモートワークの一般化が起こった時に、このトフラーというおじさん(失礼・・)の洞察力はすごいものがあるなぁ~とつくづく感心していました。
コンピューターが伝票発行機?から通信の道具に変化したときに『ひょっとしたら⁈』と考えたことがありましたが、まさか現実になるとは・・・。カップラーメンが誕生したときに『お湯をかけたらラーメンができた!』というコマーシャルが大流行して、その後インスタント食品の主流はこの『お湯をかけたら・・・』の言葉に象徴されるようになり、思わず
『お湯をかけたら宿題ができたり、試験が解けたりしたら・・』などとも真剣に考えていた時がありました(笑)
この他にも、ホワイトカラーに分裂が生じて下の人は失業するとか、企業は経済的利益だけでなく社会問題の解決に貢献することが求められるようになるとか、核家族を典型とする家族像から多様な家族形態が認められるようになり、男女の役割の見直しが進むとか、将来の政治ではマイノリティ・パワーの重視が原理の一つとなるなどのお話が展開されています。そして日本版では、巻末にハイジ夫人との共著による日本観察の一文が掲載され、当時「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われていた我が国について、「日本は、退潮しつつある波(第二の波)の頂点に立っている」と警告を発しています。
40年以上前にトフラー博士が考察、予言したことに、あの頃の未来に立っている私たちは、どの程度追いつけているでしょうか。また、これからの第三の波の展開をどの程度予想し、準備ができているでしょうか。博士の予測と現状との比較をしながら読むことで、今読んで面白い本と言えるように思いました。
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キャリアコンサルタント 橋本 広高

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